ワクチンに興味ある人、まずは免疫キーワードを覚えましょう

田舎暮らしを始めたばかりの私は、ちょっと前まで大学で研究をしていた分子生物学でした。遺伝子の研究をしていました。遺伝子は、いろんなところに顔を出します。基礎研究だけではなく応用研究として、がんや炎症、ウイルス感染などにも関係します。だから、そちらの勉強もします。がん、炎症、ウイルス感染って、免疫と関係しているんですよ。

 

免疫の勉強は、大変です。役者が多すぎます。覚えることが、沢山ありすぎです。教科書を読んでも、早々に覚えられるものではありません。この苦手意識はいまだに続いています。新型コロナウイルスの論文を読んで毎日ツイートしていますが、免疫に関係するところは、今でも苦労しています。

 

今は新型コロナウイルスが流行しているので、このブログをたまたま読んだ人の中にも、ワクチン開発について関心のある方がいらっしゃるのではないでしょうか。あるいは、たまたまこれを読んだ方が、学生さんかもしれませんね。そんな方々に向けて、西城秀樹(Saijo Hideki)さんの大ヒット曲YMCAを使った免疫の重要キーワード暗記法をお伝えしたいと思います。これは、YouTubeで動画配信(https://youtu.be/uJ4OOeYK8D0)してますから、全部を知りたいという方はそちらを視聴してください。このブログは、さわりの部分だけです。

 

それでは、免疫のキーワードを覚えましょう。

 

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YMCAからです。YMCAYは、そう免疫と言えば抗体ですね。Yの形が抗体の形なんです。Vになっているところで、抗原を捕まえます。そこを可変部位と言うんですよ。真っ直ぐな部分は定常部位です。生物で大学受験を考えてる学生さん、「抗体の構造を書いてください」なんていう問題出ますから、教科書見てY字型をしっかり描けるようにしましょう。

 

次はMです。これは、3つあるんですね。なぜ3つ、それはMittu(みっつ)のMだからです。1つ目は、モリーB細胞やT細胞のモリーMです。モリーとは、免疫記憶されるということです。一度、ウイルスに感染するとそれに対する抗体が体の中に作られ、長い間、その情報は保存されます。感染したウイルスを記憶する、すなわちメモリーするのがB細胞とT細胞の役割なんです。次のMは、マクロファージMです。マクロファージは外から入ってきた侵入者を包み込んでやっつける力を持っています。頼もしいですね。そして3つ目のMが、MHCMです。エム・エッチ・シーと読みます。「これは聞いたことないぞ」という方もいらっしゃるかもしれませんね。MHCは、マクロファージが外から侵入してきたウイルスを包み込んでばらばらにして、そのウイルス情報をT細胞に伝える際にMHCを使います。ウイルス情報の伝達を仲介するのがMHCです。

 

次はYMCACCサイトカインです。サイトカインを英語で書くと、CytokineなのでCです。サイトカイン免疫系の細胞間のコミュニケーション(情報の伝達)に使われているものです。新型コロナウイルスが感染した患者さんの血液中には、サイトカインIL-6がたくさん検出されます。サイトカインが異常に大量に作られると、サイトカインストームが生じて非常に重篤な状態に至ってしまいます。

 

そして次は、YMCAA、それは抗原です。Aじゃないじゃないかと思われる方がいらっしゃるかもしれませんね。抗原アンチゲン(Antigen)なので、A抗原です。抗原は抗体と結合します。ウイルスのタンパク質が、抗原です。ウイルス、すなわち抗原は、Y型をした抗体と結合します。この結合により、ウイルスが細胞に感染することができなくなります。抗体が、邪魔をするわけです。このような抗体の力を利用したものが、ワクチンです。メモリーBやT細胞がウイルスを記憶する話を先に書きましたが、ウイルスにかかる前にウイルスのタンパク質を身体に注射して入れこむと、それに対する抗体ができます。ワクチンでは、この力を利用してウイルスの侵入を防ごうとします。

 

YMCAでお示ししたキーワードは、このように全てワクチンと関係しています。

 

こんな感じで、覚えていきます。しかし、これから全部を説明すると大変長くなるので、そろそろ止めます。さらに詳しいことを知りたい方は、私の動画(https://youtu.be/uJ4OOeYK8D0)を観て下さい。

 

西城秀樹さんの名前のアルファベットを利用して覚える免疫キーワードは、以下の通りです。

H:ヘルパーT細胞

Iインターフェロン

D:伝染病

E:液性免疫、体液性免疫とも言います

K:キラーT細胞

I:インターロイキン

 

SA:細胞性免疫

I:イムノグロブリン免疫グロブリン

J:樹状細胞

O:オプソニン作用

以上です。お疲れさまでした。

 

追記:免疫だけではなく、生物では沢山のキーワードが出てきます。それぞれ工夫して覚えましょう。私と一緒に勉強したい方がいらっしゃいましたら、ご一報ください。